人手不足解決
- Solution -
中小企業の人手不足解決
人手不足の原因は、大きく
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「採用」の問題
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「定着率の低下」の問題
が考えられます。
さらに、この二つにもさまざまな原因が考えられます。
人手不足の解消を図るには、原因の特定を最初におこない、原因に対応した対策を実施していきます。
人手不足の原因把握
まずは現状分析を行って原因を調べます。現状分析には「人手不足の現状分析シート」(以下、シート)を用います。このシートは人手不足の原因を多角的に調べるもので、*労働経済白書の分析結果と知見を活用して作成しました。経営者と面談しながらシートを使ってチェックしていきます。
*令和元年版・労働経済白書は「人手不足の下での働き方をめぐる課題」を特集
シートでは全50項目のチェックをおこない、人手不足の原因を下記の9項目のいずれにあたるかを調べ、得点化して問題点のありかをレーダーチャートに見え化していきます。その後ヒアリングと実態調査を実施して深堀りしていきます。(下図参照)
原因は大きく以下の9項目です。
● 採用関係が原因
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採用・募集
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採用後の受入れ態勢
● 社員の定着率の低下をもたらす原因
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賃金・評価制度
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教育訓練
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職場環境
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コミュニケーション
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理念と価値観
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動機づけ
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業務負荷
ひとつづつ見ていきたいと思います。
1. 採用・募集
中小企業は情報発信が弱い場合が多いので、情報発信を強化します。中小企業は隠れた魅力や強みを持っている場合が多いのですが、それをコトバにして外部に情報発信しているケースは多くありませんので、形にして積極的に外部発信します。また、採用を担当者任せにせず、社長が会社説明会で理念を学生に語ったりすると、企業の魅力が発信できます。
2. 採用後の受入れ態勢
入社後は配属した部署に新人を丸投げしないよう、指導役をつけたり、定期的に面談を実施します。入社後に新人を放置せず、積極的に不安や相談事を聞く受入れ態勢は重要です。入社後の受け入れ態勢をおろそかにすると、新人はすぐに辞めてしまいます。
3. 賃金・評価制度
働く人の最大の不満は、上司は私の仕事ぶりをちゃんと見てくれていない、というものです。中小企業は評価のルールが存在しないことも多いので、簡易版の評価制度と賃金に反映させるルール、上司と部下が面談する機会作りを検討します。
4. 教育訓練
中小企業では業務マニュアルが不十分だったり、人的余裕や費用の問題があったりして教育訓練が後回しになりがちです。OJTや社内研修の仕組みを作り、社員の成長やスキルアップの機会を設けます。
5. 職場環境
介護や育児、定年後の嘱託契約など社員の要望に合わせた柔軟な働き方が重要になっています。社員のライフスタイルに合わせた制度、仕組みを作ることで離職率を下げ、意欲の拡大につなげていきます。特に中小企業では60歳を超えたシニアの活用が重要です。
6. コミュニケーション
上司との定期的な面談を実施して、上司が社員の話をきちんと聴く仕組みが大切です。また上司・先輩・同僚の協力が得やすい、ヨコ(他部署)の協力が得やすい仕組みを検討します。職場で孤独な人を作らないよう、先輩と後輩というタテ、部署をまたがるヨコのコミュニケーションと協力度合いを見ていきます。部署を超えた横断会議や親睦会・飲み会を設けて、会話を重ね親密になる機会を増やしていきます。
7. 理念と価値観
将来展望をもって仕事をすることが大事です。会社の進む方向性、そのための方策など、会社の将来像を社員に伝えることが重要です。経営者の考え、会社の進む方向を会議や朝礼等で何度も情報発信する機会を作ります。
8. 動機づけ
自分の将来のイメージや、成長のためのキャリアパスや業務の裁量権など、仕事をする上でのモチベーション向上の仕組みです。前記の労働経済白書は、社員の動機づけには「ジョブクラフティング研修」が有効であると指摘しています。私も在職中受講したことがあり研修の有効性は実感したので、こうした研修の実施も検討します。
9. 業務負荷
業務特性上長時間勤務が長く続いたり、特定の人に業務が片寄っていたり、階層に応じた業務実態となっているかなどをチェックします。業務分担を変えたり、社員を増やして長時間勤務を解消するなど業務負荷の軽減と不公平を少なくしていきます。